「秋の午後」
土曜日の午後
あなたがソファで 横になって眠っている
こんなときは 私も静かな気持ちでいよう
りんごの皮をむきながら
パイ地をのばしながら
台所の窓の外を見たりして
安らかな気持ちで時をすごそう
きっとあなたは今 眠りのなかで
落ち葉をふみながら あの木立の中を歩いている
ときどき、梢の向こうの空をみあげ
うろこ雲をみつめたりしている
立ち止まっては 野草がつけたたくさんの種を
珍しい昆虫か何かのように見入っているかもしれない
そして あと小一時間もすれば あなたは
琥珀色に輝く光となって流れる風の中で
ささやきを聞くだろう
「お茶の時間ですよ」
By Naomi Otsubo ©Naomi Otsubo 2013