ハリケーンの目がここを抜けた午前2時半頃に寝て、朝8時に起きて外を見てみれば、木の姿がちょっとちがう。ハリケーン前には、こんな姿をしていた。
フロリダ中央部へのイルマの影響は、カテゴリー2だったので思ったよりも少なく、とくにまわりでは数本の木が倒れた程度ですんだ。でも、これには理由がある。
住んでいる地域には、
雨水を貯める人工池がふたつあり、その池の水がさらに大きな湖に流れるように水路も作られているので、洪水などは起きないシステムになっている。
屋根は、カテゴリー3の最大瞬間風速58m(秒速)にまで耐えられるように作られているから、屋根が飛んだり、まわりから飛んでくるようなことはない。
電線が地下に埋められているために、停電の可能性が低い。
大きな木がまわりにない。
このハリケーンを考えたコミュニティの設計効果を、今回、しみじみと感じた。でも、カテゴリー2でも風は予想以上に強かった。古い家は雨漏りが発生し、トレーラーハウスは損傷したり傾いた。だから、私たちもカテゴリー3が来たときには、迷わず避難するだろう。
キューバをおそったカテゴリー4なんて、問題外の大きさだ。カテゴリー4の影響を受けたマイアミでは、瞬間風速63m/sを記録したらしい。マイアミ市内は、未だに車での立ち入りは禁止だ。
フロリダ州では、州の人口の1/3にあたる700万人が停電の中にいる(翌日の火曜日には、その数は1300万人にふくれあがった)。アメリカの州はもとより、カナダからも応援がきて、復旧作業にあたっているらしい。メイン州の雪嵐のときも、こうして全国とカナダから応援にきた。その姿は、頼もしいなんてものじゃない。
メイン州では、毎年、雪嵐による停電を経験した。日本での停電の経験がゼロに等しかったので、停電になって初めて、自分が電気で動くロボットと変わりがなかったことを知った。それほど、動きが止まった。電力会社からの電力に、こうまで頼った生活をしていたことに気がつかなかったことが不思議なぐらいだった。
一番に不便を感じたのは、飲料水でも、トイレでもない。手だ。できることをしようとすると、手が汚れ、手を洗おうとすると水がない。または、水を無駄にしたくない。手袋をすると、できることが限られる。だから、手が汚れないように、おとなしくしているしかない。気軽に手を洗えるか洗えないかが、行動にこうも影響しているとは意外だった。だから、今回もハリケーンに備えて、消毒用のアルコールを買った。この手の話、まさか~と思うかもしれないが、長期停電を経験した人にしかわからないホントのこと。
イルマは、フロリダに上陸した117番目のハリケーンらしい。アメリカに上陸した40%のハリケーンが、フロリダに上陸してきた。サンシャイン州と自らを讃えるフロリダだけれど、ハリケーン州でもある。
(追記 9月12日)
時間がたつにつれて、フロリダ州内の被害が明らかになっていく。1週間ぐらいに前に、カテゴリー4がフロリダ中央部を通過する予想を聞いたときの恐怖と不安は、それまで感じたことがないレベルのものだった。今回、イルマの被害にあわれた方々に、心からお見舞い申し上げます。