ワシントンDCの風景 ~ 二つのアメリカ

©︎William Ash

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当然のこととはいえ、ワシントンDCの政治色の強さには驚く。ホリデーシーズンでさえ、デモや抗議行動が行われていた。

この日は、まずホワイトハウスの外で、一塊になって座って投票権に関する抗議活動をしている人たちがいた。とても静かで、周りには、警官一人いなかった。(上部画像)

ところが、ナショナルモールの議会議事堂の前のツリーを見ていた時だった。頭上をヘリが飛び回り、パトカーがどんどんやってきて、最後には自転車に乗った警官が50人ぐらいこっちにやってきた。(下部画像)

「年末だから、警備がこんなに堅いのか?」

呑気なことを考えていたら、警官の後ろから、武装したような若者が50人ぐらい綺麗に並んで行進してきた。唖然とするこちらの前を、”Hi!”などと感じよく言って通り過ぎ、最後には池を挟んでクリスマスツリーに背を向けて、演説を始めた。

「Reclaim America」と書かれた幕を持っていた。白人至上主義者だった。彼らの一人が演説を始めると同時に、赤と白と青(アメリカ国旗の色)の煙幕が彼らを包んだ。

すると、ここがアメリカの凄さだと思うのだが、池の周りにいた若者たちが彼らの方へ走っていき、すごいブーイングを始めた。

一方で、警官が、「ここから離れろ」と周りの人たちに怒鳴り出した。デモに反対する人たちが、彼らの中に飛び込んで乱闘を始めるかもしれないからだ。

実際、その恐れがあったのかもしれない。デモに参加していた白人至上主義の青年たちも、テレビでよく見る機動隊が持っている透明なフェイスカバー付きの硬いメタル製の盾を持ち、膝の周りにも何かを巻いていて防御していた。顔も頭も、布で巻いていた。

幸い、次の日にはこのデモについてのニュースは何も出ていなかったので、無事もなく終わったのだろう。

60歳になった今だから実感するのだが、「夢」というものは、平和だからこそ持てるもの。当たり前のように「あなたの夢は?」「私の夢は?」と問い、考えてこれたことの有り難さを思う。

 

 

 

ワシントンDCのクリスマス 2021 ~ Part 2

©︎William Ash

カナダ大使館のクリスマスツリー。ノーバスコシアから持ってきた木らしい。
後ろの建物は、国立アート美術館。

クリスマスツリーは、とてもノスタルジック。この1年がどうであれ、どこか美しく落ち着いた心持ちにしてくれる。イルミネーションを楽しみながら街を歩くと、平和のありがたみをしみじみと感じる。

でも、

ひとつ前のブログの議事堂前のツリーにせよ、どこにせよ、環境問題を国際会議で議論している政府機関が、森にとってはハブとして重要であったに違いない大木を切って、わざわざ運んで飾っている。

来年には、使い回しが効く人工の巨大クリスマスツリーが登場してくれて、もっと明るい気持ちでツリーのイルミネーションを楽しめるといいなぁ。