見えるものと見えないもの

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©William Ash

視覚が世界を作る。でも、人間が「目の前の空間にあるものを見ている」と思っている最中に実際におきていることは、「目の網膜に写ったイメージをプロセス中」ということにすぎない。見ている世界とその表層の現実は、心とバイオロジーによる幻想なのだ。

目によって、世界もちがってくる。よく知られているのは、昆虫の「複眼」。ほ乳類の目とちがい、映写された画像を使わないだけでなく、たくさんの目をもつ。クモなど、8個もの目をもっている。

画像の虫は、顏の前面の大きな目のほかに、頭の後ろに透明のドーム型の目を三つもっているように見える。拾った虫だが、なんの虫か知っている人がいたら教えてほしい。なんとなく仮面ライダーを思い出す。

こんなすごい面をした虫たちが、まわりをブンブン飛んでいるこの世というもの。ドローン顔負けの情報を虫は収拾しているかも……なんて考えてしまうし、人間の視覚では拾えない生命体がいて当たり前に思える。それが雲に見えたり、風をおこしたりしているのかも。

聖夜に天のイルミネーション

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©William ash

クリスマスの夜にデッキに出てみれば、とても大きな月輪が、満月のまわりに輝いていた。紺青の天に、だれかが点火したような輝きだった。星も見え、月輪の4時の方向にはオリオン座が見えた。例年なら氷点下の最高気温が、今年は13℃のクリスマスとなったメイン州中央部。薄着のままでたくさんの人たちが、この突然の天のイルミネーションを仰いだことだろう。

Earth Wind Map ~ おすすめサイト!

earth_wind_mapEarth Wind Mapというサイトを見たことがあるだろうか。うれしいことに、日本語と英語の両方がある。インターアクティブなサイトで、ともかくこれまで見たサイトのなかでもっとも視覚的に美しいデザインなのだ。数値やグラフじゃなくて、上のように色でわかる。データ・ビジョアライゼーションとはこのことだ。今、すぐにでもEarth Wind Mapをクリックして、見てみてほしい。

クリックすると、どか〜んと、真ん中に地球が出てくる。左下の Earth をクリックすると、見たい項目の一覧ボックスがあらわれる。地球上の何をみたいか? モードには、大気圏、海、大気化学、粒子状物質の4つがある。

「大気圏」では、風速、気温など標高によっていろいろなデータが見られる。この間、メキシコに最大のハリケーン・パトリシアが上陸したときの風の流れは、本当に美しく、ずっと見ていた。「海」では、海流のみごとな流れが見えるし、波浪を選べた波の大きさもわかる。

海外旅行の前には、モードのなかの「大気科学」や「粒子状物質」を選んで、その国の大気をみてみるといい。やめようかな……なんて思ったりする国もある。

データは3時間ごとに更新される。中央の地球は回転させたりできるし、「投影法」から別な地図を選んでみることもできる。

母なる地球を、ものすごく身近に感じさせてくれる Earth Wind Map
見ていると、国とか忘れる。風や海流の流れにつられて、自分の視点も、惑星・地球へと移っていく。天気予報のついでにこのサイトを見て、生命体・地球に注意を向けよう。画像の面白さ、美しさだけでも、ブックマークする価値、だんぜんあり!

アポロが見たもの〜月の上を歩く

apollo_17_panorama_31961年に始まったアポロ計画は、アポロ17号で終った。1972年、ふたりの宇宙飛行士が月面着陸船で月面に降りた。そのときの様子を、NASA’s Project Apollo Archiveの7つの写真を使って構成してみた。ふたりが使った月面着陸船は、右側に写っている。この後、月に下りた人間はいない。

アポロが見たもの〜地球が昇る

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「この太陽系で人類が訪ねたことがある場所は、あの月だけなんだな〜。」
先日のスーパームーンの月食を見ていたら、そんなことをしみじみと思った。今では宇宙の果てまでもと、各国がこぞって探索機を飛ばす。でも、あの月こそが始まりだった。

写真は、月から見えた「地球の出」。月面の姿も壮大だけれど、その後ろに見える地球の姿は、なんて深遠なんだろう。あの上に、この自分がいるという不思議。月にもどったかぐや姫だって、きっと毎日のように地球の出を見ては思うだろう。
「あ〜、また地球が昇っていく。私を育ててくれたお父様、お母様を乗せて……。」

この写真は、最近リリースされたNASA archive からのもので、1968年にアポロ8号が撮影した。8号の宇宙飛行士は月には上陸こそしなかったが、地球の軌道を離れて他の天体の軌道をまわった最初の人類となった。かれらの名は、ウィリアム・アンダーソン、フランク・ボーマン、ジェームス・ローベル。

 

満月と星

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©William Ash

月光によって日頃は見えない月のまわりの星たちも、月食のときだけはよくみえる。日曜日の夜は、スーパームーンのオレンジの月と満天の星が、ともに庭の森の空をめぐった。こういう空をみていると、夜のほうが現実で、昼はただのフィクションに感じられてくる。

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見た目よりも複雑なものが、そこにはある‥。

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©William Ash

カメラは人間の視覚をまねたものだから、シャッターを押せば、自分が見たイメージをカメラが捉えたと思いがち。でも人間の目は、そんな単純なものじゃない。

たとえば、中央の画像の「夕暮れの景色」を見ているとする。

ところが目の網膜のある細胞は、左の画像のように、どれだけ明るいかという輝度がわかるが、色には反応しない。また他のある細胞は、右の画像のように、色に反応できるが、輝度はわからない。これらの別々な細胞から、輝度と色のシグナルが脳に送られる。しかも、別々な場所に送られる。

だから、見ている景色とは、左の画像(輝度だけの画像)と右の画像(色だけの画像)が、別々に脳内で処理されることによって再生された画像にすぎない。

生物が色に反応するようになったのは、進化の過程でいえばごく最近のことらしいが、色に反応できることは、とてもすばらしいこと。輝度だけじゃあ、空はつまらない。

水平線上のオレンジ色の空(中央の画像)が、雲の間から見える青い空と同じ明るさ(左の画像)に見えてしまって、夕焼けの空ではなくなってしまう。視覚に色が加わったからこそ、見えるようになったものがたくさんある。もちろん、右の画像からもわかるように、色だけだと構造や詳細はわからない。

光、光というけれど、電磁スペクトルのなかで見えるところまでの呼び名にすぎないし、目に見える色は、人間の視覚が光に反応しているからそう見えるだけで、実際に自然界にそうあるわけではない。

でも、輝度と色に加えて、想像をも超えた美しい世界に反応できる知覚システムを、もっともてるように進化していけたらいいな。

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