Oliver Sataler著のJapanese Pilgrimageの中に、びんずる様に関する話がのっている。
びんずる様は愛の深い人であり、またお酒に対する執着も、それと同じぐらい深かった。あるとき、仏陀から、悪霊に苦しめられているお金持ちを癒しにいくように頼まれた。そのとき、お酒をすすめられても、決して誘惑に負けて飲んではならないと言われた。
ところが、びんずる様が悪魔を退散させると、お金持ちは大喜びして、お祝い方々、酒をすすめてきた。何度も辞退したものの、お金持ちが気を悪くするといけないと、びんずる様は飲み始めてしまった。そして、案の定、酔っぱらってしまい、そのすきに悪霊が「しめしめ」ともどってきてしまった。
この話を聞いた仏陀はたいそう怒って、びんずる様を追放してしまった。
しかし、びんずる様は仏陀のいくところにはどこへでもついていき、ただ、自らを恥じて、テントの外で仏陀の説法を聞いていた。仏陀は亡くなるときに、びんずる様を呼び、許し、この世にヒーラーとして残るように命じた。
以来、びんずる様は、寺の外に座って、人々の苦しみを癒そうとしている。自分の病のある部分とびんずる様の同じからだの部分をさすると、病が治るといわれている。
東大寺の大仏殿の外にお座りになっているびんずる様、「まあ、ぼちぼちで、ええんじゃないか」と、寛容に微笑まれているような感じがする。