ワシントンDCの風景 ~ 動物園の一日

パンダ見たさにスミソニアン国立動物園に足を運んだとはいえ、動物園は好きではない。檻の中の動物を見るのは、悲しく心苦しい。

特にゾウさんを見ると、頭が良く、家族を大事にする動物だけに、かわいそうでたまらない。

でも、これは私の無知なバイアス的感傷に過ぎなかったようだ。

というのも、この動物園には5頭のアジア象がいるが、元々はスリランカのピンナワラ・ゾウ孤児園にいたり、他の動物園で飼育できなくなったのでここに引き取られたゾウさんたちだという。

中でも有名なのは、2020年に72歳という高齢で亡くなった雌の象 Ambika 。

Ambika は、8歳の時にインドの森で捕えられ、木材の運搬に使われたが、1961年にインドの子どもたちからの贈り物としてこの動物園にやってきた。

それから59年の間、この動物園で暮らして一生を終えた。彼女を通して、アジア象の研究が進み、アジア象を絶滅から救い保護するためのキャンペーンガール的役割もしたという。

30年ぶりで行ってみた動物園は、昔のような地球のどっかから「誘拐してきた」珍獣のショーケースではなく、「種の保存施設」になっていた。

どうりでこの動物園の至る所に、「我々は種を保存しています(We save species.)」という看板が立っているわけだぁ。