ワシントンDCの風景 ~ Carousel on the National Mall

国立航空宇宙博物館( National Air and Space museum)のそばにあるこのメリーゴーランドは、元々は、1940年代にバルティモアで作られた。4頭の馬が一列に並んでいるところが、ユニーク。

今、ナショナルモールの美術館などが、続々と再開している。2週間前はメリーゴーランドは閉まっていたが、もうオープンしているかもしれない。

ワシントンDCの自然 ~ ブルードX「君の声は」

アパートの網戸にやってきたセミ ©William Ash

先週末から、セミの声が聞こえるようになってきた。ブルードXには、3種類のセミがいる。2種類はセミの鳴き声はセミそのもの。

ところが、

Magicicada septendecim の声には、びっくりした。

宇宙音みたいで、最初に外で聞いたときは、セミの声だとは思わなかった。

このNational Geographic のサイトで、3種類のセミの声や生態が紹介されている。Magicicada septendecim の声は、生だと、もっと少し質がよく、エコーのような空間を感じさせる奥行がある。

先週末は暑かったので、ブルードXの数は一気に増えて、街路樹も草原もすごいことになっている。赤い目にオレンジっぽい羽が、とてもおしゃれで、見ても楽しい。犬の散歩にいくと、洋服にはセミが、犬の毛に抜け殻がついていたりする。足の線はとても細く、手に乗せると、糸のような感じすらする。

周期ゼミが見られるのは、この地球でもアメリカの東部だけ。しかも、このブルードXの規模は最大級。昆虫学者も、昆虫食研究科もみな大興奮している。そして、鳥もネズミもラクーンも、カエルもヘビも、みんな超えてゆく。ありがたいね。「周期」というところに、自然の知恵が隠されているのだろう。

追記:6月22日
アメリカにだけ13年と17年の周期をもつセミがいるが、この周期ゼミの謎を、「セミと素数の関係」という点から説明しているとてもおもしろいYoutubeを見つけました。興味のある方は、ぜひここをクリック(日本語)。セミのおかげで、人生60年にしてはじめて数学に対して興味が湧いたような…。

ワシントンDCの自然 ~ ブルードX 厳しい現実

©William Ash

前のブログにも書いたが、ご覧のとおり、殻からぬけることができなくて死んだ幼虫や羽が奇形のセミが、今、木の下にはたくさん落ちている。その数は、日に日に増えていく。17年間の地下生活で何があったのか。人間による環境破壊のせいでないことを祈るばかり。これらの抜け殻や幼虫は、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」のオームを連想させないだろうか?

ブルードXの登場によって、今、昆虫食の中でも、セミを使ったレシピなどがネットに出てきている。しかし、こうした奇形の虫を見ると、おいしいとか味覚の問題ではなくて、安全性が疑われてくる。ちなみに、セミはタンパク質がとても多いらしい。しかし、全くその気になれない……。第一、成虫は、とてもかわいいのだよ。

ワシントンDCの自然 ~ ブルードX 羽化成功

©William Ash

アパートの低木は、今、セミだらけ。夕方にこうして殻から抜けると、羽が伸びきるまでじっとしている。このセミは、幸運にも完全に羽を広げることができた。ピンク系の肌色をしているが、どんどん黒くなっていくから不思議。

羽のなんという繊細さ。美しさ。自分のことは棚において、「これが生物というものか」と見入ってしまう。ただ、黒い眉毛が、なぜか志村けんのバカ殿様を思い出させて笑える。

ワシントンDCの自然 ~ ブルードX 成虫

画像のセミは、道に落ちていたものを拾ったもので、生きているセミは目がもう少し赤い。

ブルードXは、5月中に地下から出てきて、6月に壮大なるリサイタルを開くらしい。飛ぶのがへたで、飛べてもせいぜい60メートル。イナゴのように群れて植物を食い荒らすこともない。

今、近所の道路のいたるところに、不羽化の途中で体半分だけ出したまま死んでいるセミや、成虫になってすぐに死んでしまったセミ、羽が不完全だったり、曲がっているセミが、道にたくさんころがっている。その数は、公園の木のまわりではとくに多い。

素人の単なる推測だが、夏の間にまく除草剤や殺虫剤、冬に公道の雪を解かすためにまくソルトなどが、こうしたセミに影響を与えているのかもしれない。

1匹のセミは500個の卵を産むそうだから、その中の1匹でも生き延びて卵を産めば、セミの「虫系」は保たれるのかもしれない。でも、こうもたくさんの不完全なセミをみると、心配になる。

でも、はやく彼らの大合唱を聞きたい。うるさいそうだが、セミの声は子供のころの夏休みを思い出させる。昭和の夏休み 。かき氷にスイカ、すだれ。もっとも、ブルードXは、夏を待たずに6月には、地上の舞台から姿を消してしまう。そして、次のリサイタルは、17年後。

虫が、17年という長い周期というか寿命をもつのはなぜだろうか? 自然のシステムによって生まれた周期なのだろうから、意味があるにちがいない。

Click on the image for a larger view.

ワシントンDCの自然 ~ ブルードX 羽化

©William Ash

前回につづき、ブルードXの続き。

アパート内の大木の幹では、多くのセミの幼虫が、地下の生活で使っていた殻を脱いで、羽化をしている。これは夕暮れ、暗くなってから始まる。羽化は、穴ぐらを出てから1時間以内に終わるというから、かなり速い。

驚くほど、コンパクトに折りたたまれた羽や体。画像の体は半透明だが、殻を完全に過ぎ捨ててから30分ぐらいで、もう成虫の黒っぽい色に変わる。

こうした変化をみると、自然のシステムのすごさを感じる。「何がこんな世界をつくっているのだろう?」なんて、またまた思う。

それに、セミたちを待ち受ける鳥や蜘蛛、野良猫などの天敵をまず満足させるために、最初に地下から出てくるセミのほとんどは、オスなのだそうだ。メスは、後からでてきて、交尾をして卵を産むという。

世界には3400種のセミがいるが、ブルードXのように周期的に大量発生するセミは、アメリカの東部にだけ見られるという。17年周期のセミは、ほかにも12グループあるが、ブルードXと呼ばれるグループはその中でも最大で、3種類のセミがいる。

自然は、おもしろい。

ワシントンDCの自然 ~ 噂のブルードX、ついに登場

©William Ash

ワシントンDCの街路樹は、今、セミに占拠されはじめている。その名も「ブルードX」。米国の東部の州に生息する17年周期のセミのグループで、先週のはじめに、1匹だけ木の幹にはりついているのを見たと思ったら、週末には幹の表面に上に向けてたくさんの幼虫が並び、夕刻から羽化を始めた。

17年の間、地面から20~30センチほどの深さの穴の中で、木の根の樹液を餌としてすごしていたらしい。今、近くの街路樹の地面には、直径 2 ㎝ぐらいの穴がボコボコあいていて、路上を大型コオロギのような虫が、ぞろぞろ歩いている。

たいていは近くの木を目指しているのだが、中には方向音痴もいるようで反対方向に向かおうとする幼虫もいる。それらを手でつまんで、木の下にもっていくと、20年ぐらい前に、日本でアゲハの幼虫を育てていたころを思い出す。

ファーブルじゃないが、昆虫というものは神秘の塊で、精密、繊細、きわまりない。

とはいえ、ものすごい数になってきていて、ちと、薄気味悪いでもない。木の周りには抜け殻がたくさん落ちている。木から落ちたり、路上で踏まれたりした死骸も、そこら中に転がっている。

「せっかく地上に出てきたのに」

同情してしまうが、まあ、17年間も地下で生きてこられたのだから、虫としてはかなり長い一生。それに、17年目にあたる今年は、4046㎡ あたり 140万匹という数で登場する。ということは、1㎡あたり350匹? 想像もつかない。

鳥たちにとっては、17年ぶりの食べ放題。この夏、鳥は太るにちがない。

 

追記 2021年5月22日:

幼虫の数が増えるにつれて、幼虫が羽化したあとの抜け殻が、いたるところで見られるようになった。木だけでなくて、電柱や低木、オオバコのような雑草の葉の裏、フェンス、ゴミ箱、コンクリートの壁などでも羽化していた。

追記 2021年5月26日

15州で発生中。西はイリノイ州、東はNY州、南はジョージア州、北はミシガン州までという広範囲。高木はもとより、DCのアパートの生垣の低木もセミだらけ。雑草の影にもいる。こんな光景、見たことがない。「セミは木を見上げて探すもの」という先入観が消えた…。

 

ギアトーク 8 ~ Wista 45 VX テクニカルカメラ

ギアトーク 1~ 9 では、
使ってきたカメラやフォトテクニックなどを紹介しています。

(メインメニューの「Resources」の「ギアトーク」で、掲載後は、いつでもご覧になることができます。)

©William Ash

Wista 45VX(ビスタ45VX) テクニカルカメラは、金属製平底式カメラです。前部スタンダード(レンズボード保持枠)を使って、ライズ、シフト、スイング、ティルトのあおり、後部スタンダード(ボディ本体)を動かすことで、スウィング、ティルトのあおりが可能です。長尺レールもあり、頂点距離が最も長いものから短いものまで、幅広く使えます。蛇腹をたためば、とても頑丈でコンパクに変身します。

Wista 45VX で撮影した画像はこちらです。

このカメラのすばらしさは、画像の質のよさだけではありません。パースペクティブとフォーカスプレーン(ピントを合わせる範囲)を、かなり自由に決めることができます。

フイルム面(後部スタンダード)で、パースペクティブ、またはフイルム面とレンズ面、物面の線がどのように一点に収束するかを決めますが、もっとも基本的なのは、ビルの線を平行にすることです(下の画像を見てください)。フイルム面は、ファーカスプレーンもコントロールしてます。レンズ面(または前部スタンダード)は、どのようにフォーカスプレーンが被写体と交わるかを決めます。

物面の画像をシャープにするためには、二つの基準があります。レンズ面、フイルム面、物面が平行な場合(A)と、 1点に集まる場合(B)です。(B)はシャインプルーフの原理( Scheimpflug Rule)と呼ばれていて、主に、パースペクティブと焦点のゆがみを利用して、クリエィティブな画像をつくるために使われます。

 

フィルムの魅惑

4×5 のフイルムは、一度使いだすととりこになってしまいます。ライトボックス上のポジとネガの質の良さといったら、特に小さなフォーマットのものに比べると、官能的といっていいぐらいです。

ただ、大判のフイルムを使うと、カメラやレンズだけでなく、その他の必需品(シートフィルムホルダー、かぶり布、三脚、アームカバー、ルーペなど)も、大きくなってきます。

 

フィルム取り扱い上の問題

フイルムの取り扱いは、ちょっと面倒です。フォルダーには、たった2枚のフイルムしか入れることができません。それで、複数のフォルダーをいっしょに運ぼうとすると、重くなりかさ張ってしまいます。野外での撮影には向いていません。加えて、アームカバーをつけて、フイルム交換をするのに適した場所を見つけることも必要となってきます。
僕は、 6×6 と 6×12 のフイルムバックを装着して使うことで、この問題を少しですが、クリアしました。フイルムタイプが何であろうと、大判カメラはシステムサイズも大きいです。でも、ゆっくりとした撮影ペース、そして画像のコントロースが効くという点で、とても魅力的です。

©William Ash, Photo: Wista VX and