ワシントンDCの自然 ~ ブルードX 羽化

©William Ash

前回につづき、ブルードXの続き。

アパート内の大木の幹では、多くのセミの幼虫が、地下の生活で使っていた殻を脱いで、羽化をしている。これは夕暮れ、暗くなってから始まる。羽化は、穴ぐらを出てから1時間以内に終わるというから、かなり速い。

驚くほど、コンパクトに折りたたまれた羽や体。画像の体は半透明だが、殻を完全に過ぎ捨ててから30分ぐらいで、もう成虫の黒っぽい色に変わる。

こうした変化をみると、自然のシステムのすごさを感じる。「何がこんな世界をつくっているのだろう?」なんて、またまた思う。

それに、セミたちを待ち受ける鳥や蜘蛛、野良猫などの天敵をまず満足させるために、最初に地下から出てくるセミのほとんどは、オスなのだそうだ。メスは、後からでてきて、交尾をして卵を産むという。

世界には3400種のセミがいるが、ブルードXのように周期的に大量発生するセミは、アメリカの東部にだけ見られるという。17年周期のセミは、ほかにも12グループあるが、ブルードXと呼ばれるグループはその中でも最大で、3種類のセミがいる。

自然は、おもしろい。

ワシントンDCの自然 ~ 噂のブルードX、ついに登場

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ワシントンDCの街路樹は、今、セミに占拠されはじめている。その名も「ブルードX」。米国の東部の州に生息する17年周期のセミのグループで、先週のはじめに、1匹だけ木の幹にはりついているのを見たと思ったら、週末には幹の表面に上に向けてたくさんの幼虫が並び、夕刻から羽化を始めた。

17年の間、地面から20~30センチほどの深さの穴の中で、木の根の樹液を餌としてすごしていたらしい。今、近くの街路樹の地面には、直径 2 ㎝ぐらいの穴がボコボコあいていて、路上を大型コオロギのような虫が、ぞろぞろ歩いている。

たいていは近くの木を目指しているのだが、中には方向音痴もいるようで反対方向に向かおうとする幼虫もいる。それらを手でつまんで、木の下にもっていくと、20年ぐらい前に、日本でアゲハの幼虫を育てていたころを思い出す。

ファーブルじゃないが、昆虫というものは神秘の塊で、精密、繊細、きわまりない。

とはいえ、ものすごい数になってきていて、ちと、薄気味悪いでもない。木の周りには抜け殻がたくさん落ちている。木から落ちたり、路上で踏まれたりした死骸も、そこら中に転がっている。

「せっかく地上に出てきたのに」

同情してしまうが、まあ、17年間も地下で生きてこられたのだから、虫としてはかなり長い一生。それに、17年目にあたる今年は、4046㎡ あたり 140万匹という数で登場する。ということは、1㎡あたり350匹? 想像もつかない。

鳥たちにとっては、17年ぶりの食べ放題。この夏、鳥は太るにちがない。

 

追記 2021年5月22日:

幼虫の数が増えるにつれて、幼虫が羽化したあとの抜け殻が、いたるところで見られるようになった。木だけでなくて、電柱や低木、オオバコのような雑草の葉の裏、フェンス、ゴミ箱、コンクリートの壁などでも羽化していた。

追記 2021年5月26日

15州で発生中。西はイリノイ州、東はNY州、南はジョージア州、北はミシガン州までという広範囲。高木はもとより、DCのアパートの生垣の低木もセミだらけ。雑草の影にもいる。こんな光景、見たことがない。「セミは木を見上げて探すもの」という先入観が消えた…。

 

ワシントンDCの風景 ~ Black Lives Matter Plaza

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黄色の大きな字で、Black Lives Matter  と書かれた Black Lives Matter Plaza((ブラック・ライブズ・マター・プラザ)は、ラファイエット・プラザまで、2ブロックも続いている。道の先には、ホワイトハウスが見える。 Click on the image for a larger view.

ワシントンDCの風景 ~ Wild Horses

ナショナルモールのメリーゴーランド。なぜナショナルモールに回転木馬? 実はこの馬たち、歴史的意味をもっている。詳しくは、こちら→ Carousel on the National Mall. Click on the image for a larger view.

ワシントンDCの風景 ~ 時代のサイン

  ラファイエット・スクエアとホワイトハウス(フェンスの向こう)の前にて撮影。遠くにはワシントン・モニュメントが見える。

黒人男性が「意見が合わないからといって、お互いを憎むことを止めよ」という札を立てて座っている。撮影している僕には、親指を立てて「いいよ」と合図している。

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ワシントンDCの風景 ~ 国際スパイ博物館

 ナショナルモールの近くにある私営の国際スパイ博物館(International Spy Museum)。スパイというもので博物館を作ってしまうところが、エンタメ王国アメリカ。おしゃれな車が見えるが、ナンバープレートを見て、だれの車かわかるかな? わかれば、あなたはスパイムービー通です。

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ワシントンDCの風景 ~ アイゼンハワー行政府ビル

米消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau)の窓に映ったアイゼンハワー行政府ビル(Eisenhower Executive Office Building). Click on the image for a larger view.