夏の夕暮れには、野生のブラックベリーをワクワクしながら摘んだ野原も、冬は近づき難い。何もないから、つまらないというわけではない。夏の楽しい思い出が、心のなかに親しい思いを作り上げていて、期待にも似た淡いその思いを持って野原の入口に立てば、こちらのことは鼻にもかけないといった感じで厳寒と向き合っている。春にもどってくるはずの渡り鳥が、季節をまちがえて来てしまったみたいな感じがして、しょんぼりと引き返す。
夕陽を照り返す冬の湖。白と青、茶にしか見えない寂しい風景の中に、微かにちがう無数の色による、沈黙しているような控えめな色合いの世界がある。「寒すぎる」と文句を言いながらも、メイン州を去ったら一番懐かしく美しく思うのは、こうした冬の景色にちがいない。それにしても、夏のこの景色とはあまりに違う。不思議な世界に住んでいるものだなぁ。
先週は一月だというのに、気温が0℃以上になった。珍しいことに雨が降り、それがやがてみぞれになり、あられとなり、雪がちらくといった感じだった。一日の間に、水が変幻自在に姿を変えて空から降ってきて、天気予報のお兄さんは、「こんな天気は、初めてだ〜」と言っていた。
例年なら雪が深いので、スノーシューズをはくのだが、今年は雨のあとに気温が下がったので、雪は固い氷となっている。滑りやすいので、アイゼンをつけて野原に行ってみれば、ブラックベリーが、明るい白のキャンバスに固い黒線となって抽象画の世界を創っていた。あまりに、夏の姿とは違う。
30代のときに夫婦で四国遍路道を歩いて3周したメモア
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どんよりとした雪の週末だったが、バードフィーダーのまわりはにぎやかで、コガラ、ナゲキバト、エボシガラ、ゴールドフィンチがひっきりなしにやってきた。中でもアオカケス(blue jay)は、6羽ぐらいでやってきた。
カラスの仲間なのにブルーの高貴な衣装をまとい、淡い色合いが微妙なのに、しっかりと目立つ。鼻のあたりの黒い線をいかして、にらみの効いた表情を見せたりする。
メイン州では珍しい鳥ではないけれど、雪の日にはとても美しく見える鳥だ。絶対に、お友達になりたい!
12月になると、たくさんのカラスがいっしょになって眠りにつくようで、一年のうちにこんな姿が目につくのは、冬ぐらい。群れの規模も大きいけれど、まあ、おしゃべりみたいでうるさい。
カラスの群れは、a murder of crows と英語ではいわれるぐらいだから、カラスは人間には恐れられているのだろう。それに、煮ても焼いても食べれないし、頭がいい。人間の都合のいい使い物にはならない。
もうどうみたって人間の上をいく動物のようで、子どもの頃からカラスのお友達がほしくてしかたがない。でも、冬のこんなにうるさい姿を見ると、鳥とはいえお友達にするのは、集団行動が苦手な内向的なカラスに限るかも……と思えてくる。